米で流行の変異ウイルス 日本人に多い免疫の効果弱まる可能性
アメリカ・カリフォルニア州を中心に流行している新型コロナウイルスの変異ウイルスについて、日本人に多いタイプの白血球では免疫の効果が弱まる可能性があるとする研究結果を東京大学などのグループが公表しました。この研究は東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授らのグループがまとめ、正式な審査を受ける前の論文を公開する「プレプリントサーバー」と呼ばれるシステムを利用して公開されました。
ヒトの免疫には、「抗体」のほかに白血球などがウイルスなどを直接撃退する「細胞性免疫」という仕組みがあります。
グループは、この「細胞性免疫」に注目し、日本人の6割が持つとされる「HLAーA24」というタイプの白血球がウイルスを撃退できるかを調べました。
その結果、アメリカ・カリフォルニア州を中心に流行している「L452R」という変異がある変異ウイルスに対しては、働きが低下することが細胞の実験で確認されたということです。
グループによりますと、実際には別の免疫機能が働くとみられますが、白血球がこのタイプだと免疫の効果が低下するおそれがあるということです。
この変異ウイルスは国内では4月、沖縄で1人の感染が確認されています。
佐藤准教授は「細胞性免疫は、ヒトの免疫の中では重要な役割を果たしている。ワクチンの効果などに、どう影響があるのか検証する必要がある」と話しています。