備品不明:厚労省所管8施設で医療備品15億円分−−検査院調査
国立障害者リハビリテーションセンターなど厚生労働省が所管する8施設で、高額な医療機器などの備品約720点(購入総額約15億6000万円)が行方不明になっていることが、会計検査院の調査で分かった。税金で購入した備品がずさんに管理されているのは問題だとして、検査院は厚労省に改善を求める方針。厚労省も事実確認に乗り出した。
物品管理法に基づき、厚労省は50万円以上の物品を廃棄する際には厚労相の承認が必要と定めており、廃棄すると物品台帳から抹消される。検査院は同センターのほか、厚労省が所管する検疫所や国立ハンセン病療養所について、2011年度末の台帳に記載された備品が実在するか調べた。
国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)では、存在するはずの備品約2300点のうち、2割にあたる約450点(約11億3600万円)がなくなっていた。数十年前に購入した医療機器や旧式のパソコンが多いとみられる。
ハンセン病の元患者が入所する国立療養所では、栗生楽泉園(くりうらくせんえん)(群馬県草津町)や菊池恵楓園(けいふうえん)(熊本県合志(こうし)市)など6カ所で計約260点(約4億2400万円)の備品が行方不明だった。神戸検疫所でも6点(約700万円)の備品の存在が確認できなかった。逆に、複数の施設で存在するのに台帳に記載がない備品が計7点(約1100万円)見つかった。
検査院の調査を受けて、事実確認に乗り出した厚労省や各施設はいずれも「現段階ではコメントできない」とし、備品がなくなった経緯を明らかにしていない。
厚労省は1〜2年ごとに各施設を監査して備品の管理状況を調べているが、備品の一部しか確認しておらず、発覚していなかったとみられる。
厚労省が所管する施設では昨年、国立感染症研究所など3カ所で約1300点(約28億円)の備品が行方不明になっていることが判明。検査院は他の施設でも同様の事態が起きている恐れがあるとみて調べていた。