愛知、松浦病院 診療報酬4億8900万円不正受給 

厚生労働省東海北陸厚生局は9日、愛知県犬山市の「医療法人松陽会 松浦病院」が診療報酬約4億8900万円を不正受給していたとして、保険医療機関の指定取り消しを決定したと発表した。

処分は来年2月1日付で、5年間は再指定は受けられず、保険診療ができない。同法人は他の医療機関などに土地建物を売却し、返済する方針。

同病院は名鉄犬山駅前にあり、診療科は10科、病床数は107床。発表によると、同病院は2008年2月から12年8月の間に、診療報酬のランクが下がらないよう、看護師など介護職員1人あたりの月平均の夜勤時間を72時間以下とする虚偽の届け出を行うなどして入院患者約200人分の診療報酬を不正受給。同厚生局の調査で、勤務表と照合して不正が発覚した。

松陽会の須賀敬理事長らは9日、犬山市内で記者会見。須賀理事長は「患者、家族の皆さんに多大な心配と迷惑をかけ、おわびしたい」と謝罪。不正受給は資料が残っていない分も含め約17億5000万円と推計されるとし、「不正受給をしたのはすでに退職した事務長や理事らだ」とした。

現在は、土地建物の売却先として複数の医療機関と交渉中としたが、売却先が見つからない場合、約100人の入院患者は転院を迫られることになる。夫が6月末から入院中という70歳代の女性は「ずっとここにいられると思っていた。病院が潰れたら行くところがなくなる」と嘆いていた。