不正報酬1億4600万 県が介護請求減額処分−翔寿園
県は29日、熱海市伊豆山の介護老人保健施設「熱海ナーシングホーム翔寿園」を運営する医療法人社団誠寿会(神成裕正理事長)が、介護報酬を不正に受領したため、介護保険法に基づいて処分したと発表した。県によると同施設は2011年7月から13年4月の間、常勤医師がいると虚偽の報告をして、介護報酬約1億4600万円を不正に受け取った。県は同施設に対し、10月1日から1年間、介護報酬の請求額を5割減額する処分を下した。
県介護指導課によると、同施設の医師は週4日以上勤務する「常勤」ではなく、週3日だけの「非常勤」だった。医師が非常勤の場合、介護報酬は3割減額される。同施設はこの分を不正に請求・受領していた。
同施設は不正請求・受領の事実を認めた上で、「昨年12月に辞職した担当者が一人で虚偽の報告などを行っており、理事会もそれを見抜くことができなかった。辞職が突然だったので、残された書類などを調べ、不正の事実が明らかになった。県に相談する体制を整えている時に、監査を受けた。多大な迷惑を掛けたことを深くおわびすると共に、今後は信頼を取り戻すために努力したい」としている。
不正に受領した介護報酬は、全額返還する方針だという。ただし、返還方法については今後市などと相談したいとしている。事業は継続する考えで、「この先1年間は介護報酬の請求額が5割減となり経営は厳しくなるが、入所者のことを第一に考えて対応していきたい」としている。
同施設の定員は82人。県によるとショートステイを含め、現在約80人が利用しているという。同法人が同施設で同時に実施していたショートステイや通所リハビリなどの事業については今回、常勤医師に関して同様の虚偽の報告をしたことを理由に9月30日付で介護保険の指定取り消しが決まった。
今回の件について斉藤栄熱海市長は「最も心配されるのは、現在の入所者の不安や介護サービス利用者への対応。施設に対し、誠意を持って全力を挙げて信頼を回復するよう強く要請する。県からの詳細な説明を受けた上で、市として厳正に対処していく」とコメントした。